離婚指輪
第1章 依理の場合
高三の夏、私は兄の運転する車で、祖母の家へ向かっていた。
陸上の長距離走でインターハイまで出場し、翌年の春からは大学推薦が決まっていた。
高速を走っている所から、私の記憶は無くなっている。
次に目が覚めた時には、私の両足は二度と動かなくなっていた。
交通事故だったと聞かされた。
兄を失った。
そうしてある日、1人の若い男性が病室を訪ねてきた。震える声で、ぶつかってきた車を運転していた、夫婦の息子だと言った。
運転していた夫婦も即死だったと聞いている。
父や母は、行き場の無い怒りや悲しみを、その男性にぶつけた。
男性は病室で土下座をし、歩けなくなった私の責任をその男性の一生をかけて取ると言った。
そんな光景を、…
もくじ (3章)
作品情報
作品紹介文はありません。
物語へのリアクション
お気に入り
0読書時間
13分コメント
2リアクション
6