ひび
第1章 (1)日常
私たちは生きながら、ある種の常識を作りあげていく。
違う時代や、違う国や、あるいは違う星や、そんなところから、私たちを見れば驚くようなことさえも、私たちはいつしか当たり前として受け止めていく。一度、それが染みついてしまえば、もはや説明もできないくらい当たり前なことの中に私たちは生きていて、私たちの全身は、その当たり前の中にどっぷりとつかっている。
時に私たちは、そうした当たり前の出来事を不自由に感じて、その当たり前の日常を崩すような何かを欲することがある。台風や大雪、場合によっては大地震でさえも、私たちの日常にひびを入れる何かであり、そんなとてつもない不幸を欲することさえある。もちろん、もし、そ…
もくじ (5章)
作品情報
突然降り出した、「ドロップ」。
比喩でも象徴でもなく、突然世界にドロップが降る。日常に入った一筋のひび。
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