割れた
第1章
20代最後の夜、夢を見た。
夢の中で誰かと話をしていた。
誰なのかは分からない。
ちゃんと顔を見て話してたはずなのに、起きたらすっかり相手の顔を忘れていた。
いや、忘れたんじゃなくて、本当は最初から見えてなかっただけかも知れないけど。
とにかく、知り合いの人間じゃないのは確かなのに、夢の中の俺はやたら親しげだった。
夢の中で、そいつはこんな事を言っていた。
『ワタシは貴方の全てを知っています。明日からはもっと親密になれそうです。宜しくお願いします』
不思議な夢だったけど、目が覚めたらそんな事には構っていられない。
目覚ましと同時に体を起こし、顔を洗って歯を磨く。ワックスをつけてうずらハゲを適当に隠す。
昨…
もくじ (1章)
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