メトロの先に
第1章
新橋駅から銀座線に二駅乗って、京橋駅まで。それが、私の毎朝の道のり。
この街は、ぴしっとスーツを着た人々で溢れていて、瀬戸内の小さな島育ちの私は、就職のため上京して半年が経つ今もなかなか馴染めない。
ある日、私は仕事で大きなミスをして、昼休みに非常用階段で一人で泣いていると、優実先輩がやって来て、私の隣に座った。
「こんなところにいたら、風邪ひくわよ。沖本さん、月島には行ったことはある?」
「いえ……、東京のこと、よく分からなくて」
「そうしたら、今夜一緒に『もんじゃ』でもどう?」
先輩からの初めての誘いに驚いて、思わず顔を見ると、いつも真面目な優実先輩がいたずらっ子のように笑っていた。
会社を出て…
もくじ (1章)
作品情報
就職のため上京してきた主人公は、まだ東京の街に馴染むことができないでいた。
ある日、仕事でミスをし落ち込んでいると、会社の先輩・優実に声を掛けられる。
優実先輩に誘われるがまま、メトロに乗って連れられた先は、初めての月島で……。
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