決断ゴールドライン
第1章 <豊洲、豊洲です。足元にご注意ください。4番線の電車は、各駅停車 和光市ゆきです>
海を埋め立てて街を創り上げてしまう人間もすごいと思うが、音楽という、形のないもので心を震わせるのもまたすごい話だと思う。
ずっと追いかけているバンドのライブが開かれた、豊洲(とよす)のコンサートホールを後にした。俺は駅までの道を歩きながら、未だにぼわんぼわんする聴覚の中にある余韻を噛みしめる。ファンクラブに入っているのにぜんぜんチケットが当たらず、苦節数年でようやく手に入れたのだった。
噂通りの良いライブだった。メンバーはみな俺と同年代で、長く苦しい下積み時代を経て、今は全国ツアーも開催したりするほどのメジャーなバンドとなっている。
それに比べて俺は……と思いつつ、有楽町線・豊洲駅の階段を下りた。…
もくじ (1章)
作品情報
豊洲PITのライブが中止になったので、未だに行ったことがありません。
執筆時BGM : アンサー / Sound Schedule
物語へのリアクション
お気に入り
0読書時間
9分コメント
2リアクション
8