旧友オレンジライン
第1章 <この先、揺れますのでご注意ください。 次は、三越前です>
無傷で退勤したことがない。
とはいえ、俺は別に殺し屋とかを生業にしているわけではなく、普通のサラリーマンだ。大学を出てからもうそれなりに経って、そろそろ中堅どころに小指の先くらいは浸かっていてもよさそうな入社年次である。
にもかかわらず、相当に気を遣っているはずなのに、俺は毎日大なり小なり何かしらミスを犯す。今日も客先から預かった書類の捺印漏れに気づかないまま会社に戻り、上司に指摘されて人格が粉塵爆発しそうなほど怒られた。客先の担当者がいい人だったから、まだよかったようなものだ。
おまえって人当たりは良いけど、仕事の質はよくないよな。
上司にそんな言葉をかけられてしまってからは、モチベーションなどど…
もくじ (1章)
作品情報
ラインカラーはオレンジだけど、走ってるのは黄色い電車。
執筆時BGM : また帰るから / アンダーグラフ
物語へのリアクション
お気に入り
1読書時間
11分コメント
6リアクション
10