勇者の乗り物
第1章
日比谷線のホーム。
南千住の駅は、地下鉄ながら、ホームが地上にあり、屋根の隙間から青空がみえる。
私は毎朝、電車を待つ間、ぼんやりと青空をみていた。
なるべく何も考えないように。心を空っぽにして、視界いっぱい青空にする。
スーツの堅苦しい着心地も、ネクタイの息苦しさも、肩にかかるカバンの重さも全て忘れて、深い深い青空に浮かんでいるような気持ちになっていく。
やがて、銀色の電車がゴーゴーと音を立ててやってきた。
サービス業であるため、早朝の出勤なのだが、それでも、そこそこ混んでいる電車に乗り込んだ。
くるりと姿勢を変えて、窓の外をみられる位置に立った。
発車して、ものの何分も乗らないうちに電車は地下へと吸い込…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
地下鉄のホームで電車を待つ日常風景。
変わらぬ通勤電車の中でも、主人公の心は冒険の旅にでる。
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