ぜんまい仕掛けの少女
第1章 第1話 小説家と聖なる夜
メリークリスマス!
外へ一歩踏み出した途端、通りを歩いていた子どもたちが、楽しげにそう言って、ルイの前を通り過ぎていった。近ごろ、執筆活動でずっと部屋に籠もりきりだったルイは、その楽しげな声聞いて初めて、今日が一年のうちでも特別な日だということに気がつく。
――そうか、今日はクリスマス。
確かに、意識して見ると、街ゆく人々は皆どこか浮き足立っているし、あちこちから美味しそうなごちそうの香りがする。扉に手作りのクリスマスリースを掛けている家もあれば、飾り付けされた小さなモミの木を置いている家もあった。
すっかりクリスマス一色になった街を眺めながら歩いていると、ふと、頬に冷たいものを感じて、ルイは上を向…
もくじ (5章)
修正履歴作品情報
デビュー作を超える小説が書けず、苦悩する小説家ルイは、クリスマスの夜に、不思議な雑貨店を通りがかる。そこで出会ったのは、瑠璃色の瞳に、絹糸のような金髪をもつ世にも美しい少女だった。一目でその少女に魅了されるルイ。しかしその少女には、思いもよらない事情があるようで――?
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