凶の出ないおみくじデー
第1章
毎日が「凶の出ないおみくじデー」だった。
男は凶の出ないおみくじで有名な神社のお守りを肌身離さず身につけており、
それがために男の生活に凶事が降り注ぐことがない。
大病もなく、事故もなく、大きなトラブルに巻き込まれることもない。
不幸も不運もない。
そんな毎日だった。
しかし男は薄々気づいていた。
凶の出ない毎日とは、言い換えれば、
末吉しか出ない毎日のことだった。
いいことも悪いとも何もない、
単調な毎日。
幸運といえば、せいぜいガリガリ君で当たりを引く程度。
チョコボールを買ったところで金のエンゼルはおろか銀のエンゼルさえ出ない。
凶の出ない神社のお守りを持つとはそういうことなのだ。
男は羨んでいた。
おそら…
もくじ (1章)
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