完結

cyclamen

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更新日:2022年1月1日

cyclamen

第1章

 肌を刺すような寒さの中、太陽が沈もうとしていた。光から遠ざかるほどに、少しずつ空の色も薄紫っぽく変化している。空以外のどこかで見たグラデーションだな……と思い、それが幼い頃の学芸会の時に見たステージ照明の色だと気づくまでには、少し時間がかかった。

 一日が終わっていく。一年間の日数を決めたのが誰なのかはわからないが、三百六十五個あるうちの一つの塊が音もなく消え去っていくまでに、残り六時間弱。いちいちそれを悲しがってもいられない。どれだけ零さないようにしようと思っても指の隙間から滑り落ちてゆくのが、時間というものだから。


 代わりと言ってはナンだけど、今のわたしの指の間には、自分ではない他人の指が組み…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2022年1月1日

作品情報

「遠慮」「はにかみ」「内気」

執筆時BGM : everlasting snow / Aimer

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9分

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