ギャル、東京ばな奈をかついで帰省。
第1章 第一章「15時58分」
「せりちゃん、2時間くらいでうち着くって」
彩子は携帯を見て、こたつの上のお茶をすすった。
時刻は15時58分。
「お母さん、迎えに行ったってくれるか」
向かいに座る誠司は新聞を読みながら彩子に言った。
「お父さん、新しい車買ったんやで行ったってよ」
「新しいて、中古やで。しかも軽トラ。軽トラは車に分類されへんで、お母さん行ったってよ」
彩子は「もう」と言って、またお茶をすすった。
「高速、渋滞しとらんとええけどな」
誠司は新聞の深夜番組欄を凝視しながら、指で番組をなぞった。
肩が外れたんじゃないかというくらい肩を落とした。
「なんや、年末はあれ放送されんのか」
「ドラマもみんな終わってしまったなあ」
「ドラマ? …
もくじ (2章)
作品情報
今日、高野尾家に長女のせりが東京から帰ってくる。
母、父、妹の3人は居間でせりを待っていると—。
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