勇者の連鎖
第1章
「もうだめだ……親に電話してからこの世を旅立とう」
一人の悩める青年がいた。彼は携帯電話を取り、実家へ電話をかけた。だが何の手違いか、その電話は別の誰かへと繋がってしまった。
「ごめんなさい、間違えました」
『あ、それはいいんだけど……。どうしたの? あなたの声が何だか暗くて気になるわ』
不思議なことに、電話の向こうの30~40代と思われる女性の声は、青年を気遣った。青年は少し迷ったが、ぽつりぽつりと自分の境遇を語りだした。
「実は……今の仕事が自分に合わなくて……」
『まあ、そうなの……』
「休みが少なすぎるし、かといって有休を取ろうとすれば上司に嫌な顔をされるんです」
『まあ……』
「早く帰ろうにも残業ば…
もくじ (1章)
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勇気にあふれる人が勇者ですが、誰かに勇気を与える人も勇者だと思います。
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