感想戦
第1章
公式戦。
100手を越える熱戦。
盛り上がる記者と、カメラの向こう側のファンの方々。
読み切った先のどの盤面にも、すでに相手の金は玉を守り、成り上がった歩が私の喉仏に切っ先を向けていた。
しわくちゃになった袴を正す。
ぬるくなったお茶を飲み干して・・・・・・。
奥歯をぎしりと鳴らして、目を瞑る。
「負けました」
私の連戦をとめた相手は、私の愛弟子だった。
やってくれたな。
でかい爪痕を、私に残しやがって。
小さくてふわふわだった指先が、今では私を打ち負かすまでに、指しだこを作っていた。
一瞬出かかった涙が、フラッシュでごまかせて良かった。
疲れた顔で肩を落としている弟子に・・・・・・愛敵手に、見られなくて良かった。
…
もくじ (1章)
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