冥界喫茶「ジュバック」
第1章
「店長さん!もっと賃金増やしてくぅーださいっ!」
私は、悪びれもせず目の前でグラスを磨いている店長に向かってそう言い放った。
正直、勤務に見合ってない。…そんな低賃金でもないけどさ。
「あはは、ダメダメ。これ以上は上げられないよ」
眉根を下げ、困った顔でそう言われるとちょっとこちらもまいってしまう。
「それに、この前も君にそう言われて微々たるものかもしれないけど、上げたじゃないか」
……そうだった。1週間前もこのお願いしたんだっけ。
えへへ、と頭をかいてドジっ娘を装う。
店長は優しいからきっと許してくれる、と思ったら…案の定。そのままグラス磨きに戻ってくれた。
いや〜、それにしても退屈だ。この仕事。
早く先輩…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
人は“何か”に吸い寄せられるようにして、その店を訪れる――。アルバイトとして働くことになった「私」は、まだ喫茶店「ジュバック」の本当の恐ろしさを知らなかった。
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