幸福な敗北
第1章
毎朝毎朝
嫌な記憶を思い出す。
頭が痛くなる。心が沈んでいく記憶。
あの時言いたくても言えなかった言葉を頭の中で何百回と繰り返す。
何年も何年もそうやって過ごしてきた。
それでも一歩外に出れば、誰もそんな事情に配慮なんてしてくれない。
こんなに辛い体を引きずって生きるくらいなら。
二度と朝が来ないように自分の時間を終わらせてしまった方が楽だと思う。
周りは辞めろと言うだろう。
でも辞めない。
これは自分にしか理解できない幸せ。
生きることから逃げるという幸せ。
最初で最後の反撃の一手。
ざまあみろ。
負けるが勝ち、なんだよ。
もくじ (1章)
作品情報
逃げてもいい
物語へのリアクション
お気に入り
0読書時間
1分コメント
0リアクション
4