クリスタル・ムーン
第1章
その日はクリスタル・ムーンでした。青子は竹橋の地下鉄の風に背中を押されて階段を駆け上がってゆきました。皇居前の少し薄暗い外苑通りをちょっと遅刻して急ぎ足で歩いていておりますと、街灯がちかっちかっと瞬いているところがありました。少し薄暗がりで怖いな、と思っておりますと、後ろから、
「青子~」という声が聞えてまいりました。
青子が振り向くと、ダボっとしたグレーのパーカーにチノパンのひょろっとした男が手を挙げて追いかけてまいりました。誰だったかな? その日は10年ぶりの高校の同窓会でしたので、誰なのか記憶が蘇ってこないのでした。
追いついた男の顔を見た青子はびっくりしました。こんな人、同窓生にいたかしら?…
もくじ (1章)
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作成日:2022年1月29日