君にくる
第1章
ここは、古本屋の街として有名である。その路地裏にある少しさびれた喫茶店――ジュバック。昔ながらのドリップコーヒーが美味しい。戦後に始めた喫茶店で、外壁に絡まる辛気臭いツタの葉が、カーテンのように木の窓枠に垂れ下がっている。しかし、こんなレトロな魅力が最近は若い人にはうけるらしい。学生達も多くくる。いつからあるのかと思わせるような黒光りしてしまっている、汚れも滲んだテカテカの革張りの椅子。アンティークなサイドボードに、はたしてまだ音がするのかと思わせるレコードプレイヤーがある。マニアが、アナログの音楽を聴きたいとレコードを持ってくれば無料で流してくれる。ただし、コーヒー代は支払う。店内はカウン…
もくじ (2章)
修正履歴作品情報
これは、実話を基にしています。都心のあるラブホテルの和室に、夜中に現れるという落ち武者のお話を友人から聞きました。それを喫茶店の舞台に書き換えて作ってみました。
物語へのリアクション
お気に入り
3読書時間
24分コメント
10リアクション
100