水棲華
第1章
この所、毎晩のようにおなじ夢を見る。夢の中で私は、海の底の朽ちた宮殿で顔を両手で追おって泣いているのだ。青い水の中でも分かるほど白い肌を大きく露出させ、長い銀色の髪を水中で踊らせている。
下半身は青銀の鱗でびっしりと覆われていて、お伽噺に出てくる人魚姫みたいだったが、お伽噺よりずっとリアルな鱗が妙に生々しい。
人魚な私は、身動ぎもせずにただただ涙を流している。時折唇を動かして何か言葉を紡ぐが、それは泡となり消えていくだけだ。ひどく重苦しいその夢を、幼い頃にも見たような、頭の何処かで記憶しているような、そんな気がしてならないのだ。
ばしゃ、と大きな水音をたててプールの底へ潜る。平日の、真っ昼間のこの…
もくじ (1章)
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