メイカイ喫茶『ジュバック』
第1章 明怪喫茶『ジュバック』
「ねえ店長さん、ちょっと見てよー!」
「ハイハイ。何でしょうね」
ここは喫茶『ジュバック』。
店内の特等席を占領して先程から騒いでいるのは、客の女だ。
女の下らない長話に愛想よく付き合っているのは、我らが店長。
堅っ苦しい燕尾服をカッチリと着こなし、形のよいカイゼル髭を蓄えた老紳士だ。
今風の言葉で言えば、“イケオジ”ってやつか。
「店長さん見て、私テレビに出たんだから! スゴくない!?」
「ほほお、そいつはスゴいですねぇ」
女は長く伸ばした爪を器用に動かして、スマホの画面を店長に見せている。
テレビに出るってのは、そんなに自慢出来る事なのかねえ。
夕方にやる情報番組の素人参加企画。
あれなんて出ようと思えばいつ…
もくじ (4章)
作品情報
もしどなたかとネタかぶりあったらすみません
物語へのリアクション
お気に入り
3読書時間
21分コメント
12リアクション
36