足跡を消すために
第1章
神崎くんへ
卒業おめでとうございます。
……私もいっしょに卒業するのに、この書き出しはおかしいか。
神崎くんにとって、手紙はイヤな思い出だよね。
でも、どうしても伝えたいことがありました。
ねえ、私、充実した学校生活を送れてるように見えたかな?
あ、一年生のときに手紙であなたをフったのにこれは残酷な質問だったね。
あのときは、本当にごめんなさい。
うーん、いまさら謝ったら、よけい神崎くんがみじめな気持ちになってしまうか。
私はこうするしかなかったの。
あのね、神崎くん。
もし近い将来、『一定の期間、過去を過ごせる』ことが実現したら、いつを選ぶ?
私の場合、高校一年生からの三年間でした。
失敗したテストで満点を取り…
もくじ (1章)
作品情報
今日は卒業式。私は教室で桜を眺めながら、二年前にフった同級生に手紙を書く。
臆病な私を許さなくていい。
さようなら、さようなら。
女性主人公のSF恋愛小説。
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