落としてしまった愛
第1章
「ねえ、佳奈」
「うん?」
「これからもこんな風にずっと飯作ってくれないか?」
「翔に?」
「うん」
「何それ、プロポーズ?」
「プロポーズだよ」
彼女は蛇口を閉めないまま台所で突っ立ていた。
急なことだから動揺しているのだろう。
「俺と結婚しないか?」
「……ほんとに?」
「ああ」
「……うん!」
「……ああーよかったー。振られたら人生終わるところだった」
「なんでよ」
「佳奈が僕の全てだから」
「うふふ。何それ」
口元を手で押さえて、恥ずかしそうに笑っている。
ああ、なんて可愛いんだろう。ああ、なんて愛しいんだろう。
「じゃあ、鹿島 佳奈から、日比谷 佳奈になるんだね」
その一言は、あっという間に胸の中にある理性を崩壊させ、
…
もくじ (1章)
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