完結

勇者くんが迎えにやってきた

更新日:2018年8月4日

勇者くんが迎えにやってきた

第1章 勇者くんはやってきた

「田辺‼ 田辺ぇ‼ 」
 その声を聴くと、眼輪筋がぴくぴくと波打った。まるでパブロフの犬だな。
「御呼びですか? 部長」
 俺の返事がさぞかし気に入らなかったのだろう。部長は禿げた頭頂部に雷の様な血管を浮かばせ、眼球が零れ落ちそうなくらい見開き、止めに喧しいほど強くデスクを叩いた。
「御呼びですか? じゃ、ねぇだろ~~~~‼ お前が作ったエクセルの表‼ ミスがあったぞぉぉ‼ 」
 そう言うと、印刷したそれを俺の目の前に突き出す。インクの臭いが鼻を突く。
「申し訳ございません」
 失敗があればすぐに謝る。それは社会の常識だ。しかし――常識が通用する社会かどうかはまた別の話なのだ。
「ふざけるな。やり直せ。ただし、今日の勤務時間中に…

もくじ (6章)

  • 第1章 勇者くんはやってきた 第1章 勇者くんはやってきた

    第1章 勇者くんはやってきた

    2018年7月22日

  • 第2章 部長死す 第2章 部長死す

    第2章 部長死す

    2018年7月24日

  • 第3章 え、ちゃうんかい 第3章 え、ちゃうんかい

    第3章 え、ちゃうんかい

    2018年7月25日

  • 第4章 あなたは、せかいのかみさまです 第4章 あなたは、せかいのかみさまです

    第4章 あなたは、せかいのかみさまです

    2018年8月1日

  • 第5章 平成14年 第5章 平成14年

    第5章 平成14年

    2018年8月4日

  • 第6章 make a happy happy end 第6章 make a happy happy end

    第6章 make a happy happy end

    2018年8月4日

作品情報

田辺 耕平(たなべ こうへい)
32歳 独身。
身長171センチ 体重69キロ 最近腹の肉が気になりだした。健やかに中年変化中。
顔は可もなく不可もなく。しかし、人付き合いが苦手からか、女性に対して心を開く事がなし。
それが災いし、彼女居ない歴32年。つまりは――素人童貞。

唯一の趣味らしい趣味は。
物語創作。
しかし、それも今の職場に就いてからは手も付けていない。
時間がない訳ではない。ただ、挑戦し続ける事により『選ばれない痛み』を味わう事が苦痛になり、気が付けば止めていた。


仕事をして――飯を食って――アニメを流し見して――寝て――また仕事に行く。
それを毎日毎日繰り返すだけの経過。

そんなある日の帰り道、彼の目の前に奇想天外、浮世離れした格好の少年が立ち塞がった。
そして、その少年は。

耕平が中学生の頃書いた小説の主人公『勇者くん』だった。

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