彼の右側
第1章
駅からバスで15分。先に降りる彼の家までの時間。
その15分だけ、彼の右側借ります。
そう思っていた。
最初から気づいてた。
彼の隣には、誰かいるって。
気づいた時には、もう好きになっていた。
電光掲示板に、彼の最寄りのバス停が表示される。もう少しだけ、彼の右側にいたい。
彼の右の横顔。
笑う時だけ出来るえくぼ。私の好きな顔。
誰かに見せるその横顔が、私のものだったらいいのに。
想いは、ブレーキが壊れたように止まることを知らずにいた。
いつも座る二人がけの席。
バスが揺れてぶつかる肩。
大袈裟に寄りかかって、肩にもたれたい。
そんな事を考えて、でも実行出来なかった。
二人の間に透明な壁、あることわかってる。
近いけど遠い…
もくじ (1章)
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