ドライであること
第1章
「すみません」
俯きがちの女性が私の花屋へやって来た。
この場合は大体そうだ。
「能力を下さい」
”合言葉”を言われた私は静かに店の奥へ誘導した。
そこで私は彼女の話を聞くことにした。
「彼氏に浮気をされてしまって、結婚も誓い合った仲だったんですけどね……」
この仕事をしているとありがちな話だが、この話を私はありがちのまま終える気はさらさら無い。
私は落ち着いた声でこう言う。
「それでは詳しく聞かせて下さい」
「はい……」
悲壮感に溢れた彼女は淡々と喋り出した。
聞いた話を私は脳内で要約する。
仕事から帰って来たと言う彼氏の服から藤の花びらが落ちた。
問いただすと、浮気相手と藤の花公園でデートをしていた、と。
そのま…
もくじ (1章)
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