ワンナイトのあとに
第1章
携帯が机を震わせる音で夢から覚める。目を半分開けながら音のする方向に手探りで携帯を探すが、その手は虚しく宙を掻くだけである。
そういえば机がいつもの高さではない。ワタルは未だぼんやりと霞む景色をヒントに昨夜のことを思い出していた。
仕事のあとにたまに寄るBAR。店主も今や顔見知りで、独身男子の下心をうまくいなしたり転がしたり、時には頼もしい助っ人にもなってくれる。
そう、昨夜はカウンター席にひとり見慣れない女性が座っていた。
「そういえばこんな状況ドラマで見たことあるな」
そう思いながらミナコは目の前に座る刑事の襟の汚れを見ながら同時に刑事の向こうにある重そうな鉄の扉を眺めた。
「じゃぁあなたはお付き合…
もくじ (1章)
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