月光の君
第1章 序 葡萄牙の酒をたしなむ文章博士
おぬしは、ちと邪宗の教えにかぶれすぎておるようだの。
釈尊の尊き教えをもって国の鎮護をなす本朝においては、その《でうす》とか《善主麿》とかいう邪宗の神の教えは認められぬ。
そういうことになっておる。
したがって、その話は、こんどの話集に入れるわけにはいかぬかもしれぬ。
だが、わし個人としては大いに心惹かれるものがある。
唐天竺の先の先、はるか胡国のさらに西の果てより来た、外つ国の化け物の話など、そう滅多に聞けるものでもありますまいからの。
しかし、残念ながらわしは、これより堀川の若様に呼ばれておるゆえ。
続きはこの文章の学生どもに話して聞かすがよい。詳しくの。
これ、お前たち。
珍妙なる言葉が多いが、ゆめ…
もくじ (29章)
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