鏡の中の歌たち
第1章 1
「《ヨウカイ》が来るぞ!」
インカムのヘッドホンからランタオの叫ぶ声が聞こえた。
掘削中の縦穴の中にいたサンフーは、今壁面につきたてたばかりのセラミック製のシャベルから手を放すと、急いで縄梯子を登って、すこし離れたところにある基地車へと向かった。
古い時代のトレーラーを改造したベースカーの、コンテナ側面の梯子をかけ登り、アンテナ台の上によじのぼる。
くん、と鼻を鳴らした。やばい。
風が湿ってきている。
サンフーは接近してきつつある、《ヨウカイ》の姿をみとめようと、荒野を見わたした。
「父ちゃん、《ヨウカイ》って、どっちだよ!」
「四時方向!」
ランタオの怒鳴るような声が聞こえる。
「速度レベル《超》級、速いぞ…
もくじ (7章)
作品情報
作品紹介文はありません。
物語へのリアクション
お気に入り
1読書時間
じっくりコメント
4リアクション
23