あなたはわかってくれない
第1章
「ほら、行こうか」
そう言ってあなたが繋ごうとした手を私は思いっきり振りほどいた。
あなたは困り顔のまま笑みを浮かべる。温かい手のひらがそっと私の頭を撫でるけれど、私はそんなものが欲しいんじゃない。どうしてわかってくれないの?
私はその場にしゃがみ込む。涙が一粒こぼれると、次から次へと止まらなくなった。
「嫌だよ」
かろうじて絞り出した一言に、あなたはちょっと呆れているみたい。
「ね、立とう?」
優しく背中をさすってくれるあなた。
違う。
違う。
違う。
違う。
違う。
違う。
違う。
そうじゃないんだってば!!
どうしてわかってくれないの!!
伝えたい。
でもうまく伝えられなくて。
あなたとはいつもすれ違ってばかり…
もくじ (1章)
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