逃げる(女)人
第1章
「ありがとうございます
わたし…」
あなたはぼくにそう告げて
姿を消した
どうしてなんだ
ぼくが初めて愛した人
ぼくが結婚してくださいと
言った後
あなたは嬉しそうに微笑んで
ぼくに
あなたがわたしを思う以上に
わたしはあなたを愛しています
でも
まだ早い…
そう
つぶやいて
ぼくの前から姿を消した
どこに行ってしまったのか
毎日
毎日探し回っているんだよ
きみだけを思い
きみだけを愛しているのに
せめていなくなったわけを
知りたいんだよ
誰にきいても
誰も知らない
きみはほんとに
いたのか…
それさえも
わからなくなってしまった
あれから何年なったのだろう
ぼくはあれから年を重ねて
76歳になってしまった
それでも
ぼくはきみを
忘れたことなんてな…
もくじ (1章)
作品情報
その人は愛してるとぼくに告げて…
物語へのリアクション
お気に入り
1読書時間
2分コメント
2リアクション
7