時々は、眠れない夜に
第1章
菅野がサインに首を振った。打席に立っている山田は静かに菅野を見つめている。眠れない夜は時々、テレビで野球を見たくなる。家の中はテレビの音が鳴っているほかにはしんと静まり返っていた。私はリビングのソファに座ってテレビを見ていて、背中側に扉を挟んで夏美の部屋があるけれど彼女の部屋も静かだった。時刻はもうすぐ2時になろうとしている。試合は1対0で巨人が勝っていて、もう少しで終わりそうだった。もう一度菅野がサインに首を振った。
私が妻と別れることになったのは、夏美が高校1年生になった春の事だった。妻とは同じ会社に務めていた頃に付き合い始めて、それから2年半付き合った後に結婚した。妻は結婚を機に仕事を辞…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
希望とは、将来が今より良くなってほしいという思い、だそうです。
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