一番の価値は
第1章
俺の名は夜藩一番(よはん ふぁーすと)。聖ウェルテル大学の三年生で、れっきとした日本人。
『一番』と書いて『ふぁーすと』と読ませる……俗に言うキラキラネームだ。笑いたい奴は笑えばいい。
実際、俺は名前負けはしていない。大学では一番……首席に選ばれている。あらゆる学問を納めた秀才……みんなが俺をそう呼ぶ。だがそれは、俺にとって何の価値もない評価だ。
俺には友達がいない。恋人がいない。作り方さえ知らない。
皆が俺を祝福し、称賛する。一方で、心の弱さを吐露したり、寄り添ったりする相手は誰も居ない。中身が空っぽでやかましい、有象無象には友達とか恋人がいるのに、俺にはいない。俺に集まってくる賛辞など、空虚なもの…
もくじ (1章)
作品情報
自殺志願の大学生・夜藩一番。『契約』を求める悪魔が突如、彼のもとに現れて…。
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