日本、老人のせいで若者が疲弊する国

お仕事

更新日:2019年9月8日

日本、老人のせいで若者が疲弊する国

第1章 取られる

「神崎さん、ちょっとちょっと。」
 その日のバイトを終え更衣室に向かう途中、店長に呼び止められた。
「神崎さん。ほら、今月の給与明細」
 手渡された茶色い封筒を受け取り、私は店長の顔を見た。
「あ、店長、前々からお伝えしていましたが、来月の7月から9月までバイトを休ませてください」
「ああ、介護体験だったな。頑張ってこいよ」
 しばらく寂しくなるなと言い残して、店長は現場に戻っていった。私は受け取った封筒を開けて、給与明細を確認した。わかってはいるが毎度見て、ため息をついてしまう。
「今月は積み立て税で8000円ももってかれてる…」


 数年前、国の偉い人が『高校生に介護体験をさせよう』と言い出した。超高齢化社会を迎…

もくじ (1章)

  • 第1章 取られる 第1章 取られる

    第1章 取られる

    2019年9月8日

作品情報

 高齢者人口が35%を超え、3人に1人が高齢者となった日本。介護人材の人手不足を埋めるべく「介護実習制度」が制定された。国は授業の一環として高校生たちにボランティアで介護をさせようというのだ。女子高生の神崎ゆいは高校1年の夏から3か月間、介護事業所に所属して介護を行うことになった。「年寄りを敬え」という日本の精神のもと、老人たちの横暴さや介護実習制度に振り回されていく。

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