完結

沈黙と奇跡

ミステリー

更新日:2019年9月9日

沈黙と奇跡

第1章 作:春井環二

 奇跡って本当にあんのかな?

 ……と、俺は歌詞を作りながらふと思った。ある箇所に入れるのにふさわしい単語を探している最中だった。「奇跡」という言葉が一番文脈上そこに合っているように思えたが、ちょっと仰々しい気もした。

 俺は今まで「奇跡」と言えるようなものを目の当たりにしたことがない。人によっちゃ身のまわりのごくあふれた物事全てが奇跡だという意見もあるようだが、俺には特にそういう実感はない。杖を振ったら目の前の大海原がドーンと割れるとか、やはりそのぐらいの度肝を抜くダイナミックな出来事だけを奇跡と呼べるんじゃないだろうか。……というかそういうものであってほしい。非日常的であればあるほど面白い。

 …

もくじ (1章)

修正履歴
  • 第1章 作:春井環二 第1章 作:春井環二

    第1章 作:春井環二

    2019年9月9日

作品情報

……ある雨の夜。俺は付き合ってもうすぐ一年になる同じ高校に通う女子、津川由香里の部屋にいた。室内にいるのは俺と彼女と、彼女の友人の阪井千恵の三人だけだ。俺は由香里に贈る弾き語りの歌を黙々と作詞していた。
目の前で二人は町で起こった殺人事件の話をしている。被害者は同じ高校に通う男子で、深夜、バイトの帰りに暗い道で何者かにメッタ刺しにされた。彼が有名ないじめっ子だったことや、状況の凄惨さから、通り魔でなく、怨恨による殺人の可能性が強いと人々は噂していた。
由香里は自分らの共通のクラスメートであるお笑い芸人を目指す古田という男子が事件に絡んでいるのではないかと突然言う。
古田もまた被害者にひどくいじめられていた一人だった。
彼女らはなんと古田に直接電話し、事件に関わっているかどうか探ろうとする。
やがて、俺たちがたどり着く真実とは? そしてこの部屋に隠されたある秘密とは……?

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