完結

紫色のライラックが咲いた

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更新日:2019年9月9日

紫色のライラックが咲いた

第1章

16時の教室は、生徒の声が窓の外から聞こえてくる。笛の音、ボールを打ち返す音、掛け声、それらを聞きながら、誰もいない教室、窓側の席で密やかに物語を紡ぐのが、俺の楽しみだ。受験生にも関わらず、ノートに数式や化学式、筆者の考えなど書いてはいない。書きかけの物語に目を落とし続きを考えていると、珍しく教室のドアがガラリと開いた。反射的にそちらを見ると、幼なじみのクラスメイトが立っている。
「鈴(りん)……?」
鈴は、ポニーテールを揺らしながら、小走りでこちらに近づいてくる。俺の前にピタリと止まると、マスク越しに咳をした。
「おい、今日は早く帰ろよ。喉、治らないぞ」
大きな目が睨むように俺を捉える。声は届いて…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2019年9月9日

作品情報

幼なじみの翔、俊、鈴の高校最後の秋

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