砂浜ブルース

SF・ファンタジー

更新日:2019年9月27日

砂浜ブルース

第1章 1

 カランカラン、と小気味のいい音が店内の空気を揺らす。開店直後のカフェにはまだお客さんはおらず、窓際の丸テーブルの前に腰掛けるのは僕ひとりだった。本棚の横には陶器でできた黒猫が鎮座している。琥珀色の中に浮かぶ黒い月は細長く、揃えた前脚の爪は行儀良く切り揃えられている。ピンと立った両耳は澄ました顔に隠した臆病さを垣間見せていた。
 ふと指先に冷たさを感じて手を止めると、ストローを持つ右手にアイスコーヒーが一滴跳ねていた。カラン、と水流の勢いを失った氷が所在なげに傾き、グラスの内でまた小さく跳ねる。指先についたほろ苦い露を舌で舐めとると、本棚の横から『よう、相棒』と声が聞こえた気がした。
 赤い丸椅子が並…

もくじ (3章)

  • 第1章 1 第1章 1

    第1章 1

    2019年9月27日

  • 第2章 2 第2章 2

    第2章 2

    2019年9月27日

  • 第3章 3 第3章 3

    第3章 3

    2019年9月27日

作品情報

真っ白い砂浜の上にぽつんと佇む、一軒のお店。お店のお姉さんはまるで砂浜のように真っ白で、触れると消えちゃいそうなくらい、キラキラしていた。

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