空奇物語(うつくしものがたり)

歴史

更新日:2019年9月29日

空奇物語(うつくしものがたり)

第1章 1

 これは我が祖父・山上清六のノートを元に書いた架空の物語である。



          一


 空奇(うつくし)の停車場に降りた途端、汗がひいた。

 山上清六は片手に下げていた学生服の上着を羽織った。
 札幌にある開拓大学の制服である。
 清六は行李の中から学帽を取り出して、伸びはじめた坊主頭にのせた。
 どうも先程から、雲行きがあやしいと思っていたが、いよいよ降りだしそうな雰囲気である。
 眼鏡の奥の細い目をさらに細めて、暗雲の渦巻く空を見上げる。
 不穏だが奇妙な神々しさを持つ劇的な雲の海。これは空の意識の投影だ。
 天地開闢の昔、引き裂かれた太古の海への憧憬が、白黒の冷たい溶岩を映し出す。
 これは神話だ。
 お互いの半身を懐かしむとき、空と海…

もくじ (1章)

  • 第1章 1 第1章 1

    第1章 1

    2019年9月29日

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