二つの音
第1章
そうね。 あるといえば、あるかしら。
それにしてもその質問が好きなのね、あなた。
さっき、隣のメープルで出来たビオラにも同じ事を聞いていたわ。
折角、お話ができるようになったのだからもう少し明るいことを聞いてもらいたいわね。
でも、ま、少し、私が関わった人間の死というか生きざまについて語ってあげましょうか?
まさか聞いておいて、詳しい話はいらないなんてないわよね。
まず、はじめに出会った死というか男の話から。
その男は武士と呼ばれる身分の人でした。
時は戦国の一番激しい時代の頃、私は山の上のまわりは所謂草花だらけの草原だった。
その頃からでも一本だけで佇む私は山の上の貴婦人と呼ばれたわ。
ただ男とか女とかいう自認…
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