完結

聖母の子供たち

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更新日:2019年11月9日

聖母の子供たち

第1章

聖母だった。頭一つ抜けた背の高さと、色素の薄い髪の毛の輝き。

多分僕は、一目で恋をしていたのだと思う。ポケベルすら存在しない、中学一年生の春の出来事だった。

目で追いかける日々に僥倖が訪れたのは、冬の始まり。

たまたま隣の席になった彼女に、僕の心は天に昇った。比喩ではなくて本当に。

僕は三学期の終わりに、転校する。彼女もまた、別の学校へ転校する。不思議な紐帯が生まれた。一度通い合った心は永遠に離れることは無くて、僕は未だに彼女の影を探している。団地の急な坂道に。古びた小学校の校舎に。

聖母とは結局、それきりだった。二度と会うことの無い偶像。それはどんな現実よりも、確からしさを持って僕の前に現れる。

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2019年11月9日

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憧れや偶像や、そういった何か。

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