花咲か少女と怪物の守る庭
第1章 予言と怪物の庭
草花と果実の街、グラオザーム。平和で何の憂いも持たぬ、開かれた花の街。多くの観光客が集まり、草花や果実の交易で栄えていた。
ある日そこにひとりの占い師が訪れる。国中を旅をする占い師は数日とどまり、そして去って行った。
「北の大地に花が咲き乱れなければ、この街は災厄の炎に襲われるでしょう。」
一つ、不穏な予言を残して。
草木と果実の街、グラオザーム。そこにはいつだって色とりどりの花が咲き乱れていた。春には桜が、夏には紫陽花が、秋には桔梗が、冬には椿が。街中どこだって、花のない所なんてない。ただ一つ、北の森を除いて。
薄暗い、木の根の張り巡らされた悪路の進んで進んでその先に。荒れ果てた黒々とした庭がある。…
もくじ (18章)
修正履歴作品情報
草花と果実の街に、とある占い師が訪れた。「北の大地に花が咲き乱れなければ、この街は災厄の炎に襲われるでしょう。」北の大地は死んだ大地。そのうえ人喰いの怪物が住んでいる。怯える住民たち、一人の少女に白羽の矢が立った。家族はおらず、大した働き手でもない、義足の少女。
「行ってくれるかい、パッペル。」「……この街のためなら、喜んで。」
森の奥の怪物と義足の少女が花を育てる、異類恋愛譚。
物語へのリアクション
お気に入り
5読書時間
じっくりコメント
21リアクション
25