世界の終わりと、さよならのうた
第1章 1
硬い床の感覚で目が覚めた。私は薄暗闇の中、砂剥き出しの地面に直接寝かされているようだった。夕方なのかと思ったけれど、一瞬あとに、この世界にはもう夜が無いことを私は思い出す。
身体を起こし、周りの様子を伺ってみる。そこは、小さな廃工場のような場所だった。いくつかある窓は全てに遮光カーテンが引かれていて、カーテンの隙間から漏れてきた光が、空気中の埃を反射させて小さくきらめいている。
その暗がりの向こう側に、無数の輪郭が見えた。
目を凝らしてみると、それは乱雑に置かれた楽器たちだった。
いくつものギターやベース、ドラムセットもあれば、トランペットやトロンボーンといった吹奏楽器もある。そのどれもが乱暴に地面…
もくじ (6章)
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明日世界が終わる日のこと
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