完結

月冴える

第1章


小さいころから冬の夜がきらいだった。
シンと静まる闇夜の冷たさは、
まるでこの星そのものが太陽に見放されたみたいだ。

隣を歩くあなたの言葉はなくて、息の白さが際立っている。
右手に感じる温もりと、相反する甲に当たるキーケースの冷たさ。
さっきまでの体温がまるで嘘みたいに消えてなくなり始めている。
「コーヒー飲む?」
あなたは、わたしの返事を待たずに、
近くの自動販売機で缶コーヒーを買った。
「荷物、まとめて送るから。今月中には送るからさ」
あなたは自然な流れで、またわたしの手を求める。

ああ、愛しさを言葉にするのが嫌いなの。
知りうる言葉、全部使ったって、言い尽くせやしないから。

月がふたりを照らしだす。
合わせてく…

もくじ (1章)

修正履歴
  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年2月23日

作品情報

「別れるって、それはもう二度と会わないってことだよね。
もうあなたの世界にわたしの居場所はないの?」

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