冬眠人間の恋

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更新日:2020年3月18日

冬眠人間の恋

第1章

1、

「あっサンタさんだ!」

電車の七人掛け椅子の端に座る私から二人分離れた場所で、四才くらいの女の子が、
窓に鼻先を付けながら言った。
女の子の「あっ」の声にまず私が反応し、少し遅れて、女の子の隣に座る母親が窓の外を見た。
十二月の第ニ日曜日、昼下がりの車両には私を含め、十人足らずの女性しか乗っておらず、
のんびりとした時間が流れている。
今朝観た天気予報では、十一月中旬の陽気で、日中一杯、雨は降らないと言っていた。
「あら、ほんとサンタさんね」
母親の口調も穏やかで、電車の車窓はひと時、絵本の1ページのように切り取られる。
「あそこでサンタさんは何をしてるのかな?」
母親の問い掛けに、女の子はより鼻先を窓に押…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年3月18日

作品情報

入社二年目、出版社に勤める筒井愛奈には秘密があった。
それは、冬眠人間であること。

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