ばあばが言うには
第1章
土曜の朝。早起きして、私は電車に飛び乗った。お財布とスマホ、ハンカチと小説など必要最低限のものだけをカバンに詰め込み、ここから片道2時間の田舎町を目指す。いろいろと疲れて何もしたくなくなった時につい足が向いてしまう場所。私にとってそれは、祖母の家だった。
見渡す限りの畑となだらかな山々に囲まれた田舎に住む祖母。近所に叔父が住んでいるが、愛犬の「ふわ太郎」と一緒に一人暮らしをしている。私が訪ねるときは「様子見だよ」といつも言い訳しているが、たぶん祖母は気づいているはずだ。料理上手で褒め上手な祖母の元へ息抜きに来ていることに。
「お邪魔しまーす」
引き戸をガラガラと開けて挨拶すると、奥の方から祖母の明…
もくじ (1章)
作品情報
息抜きに行きたくなる場所。主人公の咲にとってそれは祖母の家。
祖母が考える「大人の条件」に元気をもらう咲の様子を描いた
1話完結の短編小説です。どうぞお楽しみください。
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