notes
第1章 第1話 初恋の人
みんな一日の大半を、何を見つめて過ごしているのだろう。僕が毎日一番目にしていたものは、音符だった。
母はヴァイオリニストで、父は指揮者をしている。僕は北海道で生まれた。小さい頃から音楽の英才教育を受けていたが、それを特に苦痛に感じたことはなかった。正式な訓練を受ける前から、おもちゃで遊ぶように母のヴァイオリンに触れ、「これはおもちゃじゃないし、すごく高いのよ」と母にたしなめられたが、肩が揺れ、髪は動き、そして唇の端がわずかにあがって、それが母の隠しきれない喜びを表していたと、当時の様子を父は語る。そんな家庭だ。
僕は3歳からピアノを、4歳からヴァイオリンを習い始めた。大学の先生が教えに来てくれる…
もくじ (6章)
作品情報
モノコン2018の存在を9月1日に知り、急いで登録し書き上げました。初投稿です。
タイトル「notes」は「音符」と「彼女、彼らの記録」いう意味でつけました。
第1話では、ヴァイオリニストを目指す少年を、ある日悲劇が襲います。
このあと、彼女とその友達の話、その友達と祖父の話など、計6話で完結する予定です。
※ 9/29 第4話を投稿しました。
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