説得屋は語らない
第1章
説得、というものは存外に難しい。
おおよその場合、考えを変えさせなければならないし、場合によったら不利益を被ってもらうことを頷かせなければならない。
弁護士の弁護は法律が根拠を示してくれるが、説得には何も根拠がないことの方が多いのだ。
「説得屋、ですか」
胡散臭げに俺の表情を見る。 小柄で幼げなかんばせながら、目ざとく俺の目の動きを見ているところを見れば、年相応以上には賢そうだと勝手に判断する。
年齢、というか、学年は俺より二つ下の一年生だということが制服のリボンを見て分かる。
「そう、説得屋。 ……なんて冗談みたいな名前で通せたら都合もいいんだが、まぁそうもいかないわけだ。 『相談部』なんてチャチな名前の…
もくじ (2章)
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説得を代行する部活モノ
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