おもいでは花びら
第1章 1. 初めてのあいさつ
ある小さな島でのできごとです。
夏から秋にかけて、このあたりには、フヨウの花がたくさん咲きます。フヨウは、白やピンクの5枚の花びらが、朝に開いては、夕方にはしおれてしまう、一日花(いちにちばな)です。でも、次から次へとたくさん咲くものですから、あたり一面に咲いたフヨウの花が、夏の暑さを忘れさせてくれます。
そんな、たくさんのフヨウの中に、今まさに、花開こうとしているつぼみがありました。ようやく自分の番が来た。つぼみは、花開く瞬間を、心待ちにしておりました。いったい何が見えるだろう。いったい誰と出会うだろう。
さて、朝日を浴びて、空を向いて、目を開けたときのことです。太陽の中に小さな黒い点が見えまし…
もくじ (10章)
作品情報
童話に挑戦してみました。実際に子どもたちへの読み聞かせにも使ってもらえるような作品にしたいと思っています。読んで頂けるとうれしいです。
—— ある小さな島で、フヨウの花が咲くと、空から何かが降ってきます。夏の終わりのある日、朝の始まりとともに、物語が始まります ——
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