paralysis
第1章
打ちっぱなしのコンクリートでできた壁に囲まれた地下室に、わたしは閉じ込められたまま、何度かの四季を越えた。
なぜそのことがわかるのかといえば、わたしをこの場所に閉じ込めた男は、外の世界の情報管制をせず、むしろそのことについてわたしと語り合うことを望んでくるのだ。だからいつも、すっかり日が高くなった頃にどこからか朝刊を持ってくるし、部屋にはラジオが置かれていて、好きに聴いていいとまで言われている。別に聴きたいわけでもないけれど、なにも音がなくなってしまうと気が狂ってしまいそうで、なんとなくいつもスイッチを入れっぱなしにしている。
また、そういった情報だけでなく、唯一わたしが外の世界をはっきり感じる…
もくじ (1章)
修正履歴作品情報
「麻痺」
※本作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件等とは一切関係ありません。
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