完結

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第1章

「また今度会ったらさ」




 運転席に乗り込もうとした彼は、あたかも「いま思い出しました」みたいな調子でそう呟く。

 嘘だ。
 
 絶対に、今だから言おうって思ってたんでしょ。

 その「また今度」が来ることなんか、たいして期待してないくせに、それらしいことを言いたくて。



 無言をもって、続きを促した。



「その時は、また笑い合える関係になりたいね」


 
 その日はいつ来るの。

 明日、明後日、来週、来年。

 もしかしたら、来世、になるのかもしれない。



 あなたは気づいてない。

 人の心は移ろいゆくものだってことに。

 その時に、わたしの中にあなたへの気持ちが残っている保証なんてない。

 その時に、ああ逃した魚がでっかすぎたな、なんて気づいても、遅い…

もくじ (1章)

  • 第1章 第1章

    第1章

    2020年6月17日

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なんでこんなことしか言えないんだろ。

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