初恋。
第1章
高校三年生の2月、学校のマドンナが自殺した。
いつも一番に登校する僕が教室に入ると、開け放った窓にもたれかかり、風にその長い黒髪をなびかせている彼女と目が合った。彼女の眼に僕は映っていない。彼女の机には科学室で見かけた茶色の瓶と、中身の水がほとんどこぼれたペットボトルが転がっていた。水が机の脚をつたって木目の床を濡らしていた。
再び彼女に視線を戻す。やはり彼女の眼には僕はおろか、他の何も映っていなかった。
その後、学校の応接室に呼ばれた。僕は第一発見者ということで、警察や先生にいろいろ聞かれた。僕が教室に入ったときにはもう彼女は死んでいた、もちろん僕が殺したのではない、と何度も何度も同じことを繰り…
もくじ (1章)
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