火を出せても
第1章
僕は体から火を出すことができる。
だからといって何もいいことはない。
確かに初めて火を出した時はすごい、かっこいい、とか思った。
しかし、全世帯にガスが普及し、コンビニで100円のライターが売っている現代日本において火をおこす必要があるときなんてまずない。
そのうえ、危ないからと誰も僕に近寄ろうとしない。
「おい、火起こし。あっち行けよ。」
”火起こし” それが僕のあだ名だった。
僕はいつも校庭の端っこで、楽しそうに遊ぶみんなを眺めていた。
「ねえ君、火を出せるんだって」
声のする方を見ると、一人の女の子が立っていた。
僕はびっくりした。
物珍しさで話しかけてくる男子はいても、女子が話しかけてくることなんてこれまで…
もくじ (1章)
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